妊娠中毒症の発症予知および後遺症の危険性に関する研究-Shear stress testによる血管内皮機能を中心に-
Project/Area Number |
14770856
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Obstetrics and gynecology
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
渡辺 員支 高知大学, 医学部附属病院, 助手 (80281187)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 妊娠中毒症 / 血管内皮 / 血中脂質 / 酸化LDL / LDL粒子サイズ / 血管拡張反応 / インスリン抵抗性 / HOMA-R |
Research Abstract |
これまで妊娠中毒症妊婦の病態解析について基礎的、臨床的検討を行い、血管内皮障害がその基本病態であることを明らかにしてきた。しかし、妊娠中毒症の発症予知に関しては、未だ確立された方法は得られておらず、中毒症後遺症の危険性に関しても十分な検討はなされていない。我々は、これまで妊娠中毒症の発症と中毒症後遺症の危険性の予知を可能とする目的で、shear stress testによる血管拡張反応(FMD)を用いて、血管内皮機能を評価する方法を確立し、中毒症妊婦では血管内皮機能が著明に低下していることを明らかにしてきた。また、中毒症妊婦では、産褥3カ月目には血圧、血液検査などの臨床所見は全て改善するが、FMDは正常域にまで改善する群と依然低値のまま推移する群に分かれることが判明した。従って、FMDは中毒症の後遺症や、次回妊娠時の中毒症の発症予知に応用できる可能性が示唆された。さらに内皮機能障害をきたす重要な要因である脂質や酸化LDL濃度、LDLの粒子サイズや、被酸化性の測定を行い、中毒症妊婦では血中TGの増加が、被酸化性の亢進した小型LDLを産生することで、血管内皮に障害的に作用する可能性を示した。近年、妊娠中毒症にはインスリン抵抗性の関与が報告されている。インスリン抵抗性が存在すると、高TG血症のみならず内皮機能障害に起因した高血圧を発症し、中毒症と極めて類似した病態を示す。しかし、中毒症妊婦のインスリン抵抗性について検討した報告は少ない。今回、中毒症妊婦におけるインスリン抵抗性の有無を検討するとともに、その変化が内皮機能に与える影響を検討した。高血圧型を示す純粋型重症妊娠中毒症妊婦と正常妊婦につき、1)空腹時血糖(FBS)、空腹時インスリン(FIRI)を測定し、FBS(mg/dl)×FIRI(μU/ml)/405の式でHOMA-Rを算出し、インスリン抵抗性の指標とした。2)総コレステロール(TC)、TG、HDLコレステロール(HDL-C)3)FMDを測定した。FBSは両群で差がなかったが、FIRIとHOMA-Rは妊娠中毒症群が正常妊婦群に比較し、有意に高値を示した。HOMA-RはFMDとの間に有意の負の相関を認めたが、TGとの間には関連性を認めなかった。以上の結果より、中毒症妊婦におけるインスリン抵抗性の存在が明らかになった。また、このインスリン抵抗性は、血中TGと関連性がなかったことから、独立した血管内皮機能の抑制因子である可能性が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)