Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
歯周炎罹患歯肉組織の特徴であるB細胞浸潤のメカニズムを明らかにするため、B細胞を組織へ誘導するケモカインの発現とその産生細胞を調べた。また、B細胞浸潤と歯周組織破壊や炎症の終息とがどのように関連するのかという点に関して、B細胞が制御性T細胞を誘導して局所の免疫応答をコントロールしている可能性が示唆されるようになったため、制御性T細胞の存在と、B細胞浸潤との関連性も検討した。1.BLCの発現と産生細胞の同定歯周炎罹患歯肉組織から連続凍結切片を作製し、B細胞ケモカイン(BLC)、BLCのレセプターCXCR5、BLC産生細胞である可能性のある濾胞樹状細胞(FDC)に対する抗体を用いて、免疫組織染色を行った。BLCの歯周組織での発現の程度はサンプルにより大きな差が見られ、樹状細胞様細胞、単核細胞、血管内皮細胞にBLCの発現が認められた。2.CD4+CD25+CTLA-4+制御性T細胞(Tr)の同定と関連するケモカイン-ケモカインレセプターの検索歯周炎罹患歯肉病変部におけるCD4+CD25+CTLA-4+Trの浸潤の有無、TrとB細胞浸潤の優勢度との関連、Tr=の浸潤メカニズム(MIP-1βとそのレセプターCCR5)を免疫組織染色にて検索した。その結果、歯周炎病変部にCD^4+CD25^+CTLA-4^+Trが存在し、その頻度はB細胞の浸潤の優勢度と正の相関が認められた。MIP-1β、CCR5の主要発現細胞はマクロファージであったが、B細胞の一部にもMIP-1β、T細胞の一部にもCCR5の発現が確認された。これらの結果より、確立期歯周炎病変部のB細胞がMIP-1β/CCR5を介した機序によりTrを病変部へ誘導し、歯周病原性細菌に対する免疫応答を抑制して炎症を遷延化させている、あるいは自己免疫的機序による歯周組織破壊の進行に歯止めをかけている可能性が示唆された。
All Other
All Publications (2 results)