Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
マスト細胞はアレルギーや炎症反応において中心的な役割を果たす細胞であり、その顆粒内に貯留され、刺激に応じて放出されるヒスタミンはマスト細胞の主要なメディエーターの一つとして知られる。申請者はIL-3依存性骨髄由来培養マスト細胞においてIgEの感作の段階で顕著なヒスタミン合成の誘導が転写レベルで起こることを見いだした。本研究では抗原非存在下におけるIgEによるマスト細胞活性化のメカニズム、および慢性アレルギー等の疾患におけるその寄与を明らかにすることを目的とする。1.単量体IgEによるマスト細胞活性化機構の解析IL-3依存的な骨髄由来培養マスト細胞(BMMC)における単量体IgEによるヒスタミン合成の亢進、IL-6産生には細胞外からのCa^<2+>流入が不可欠であること、またそのCa^<2+>流入に関与するチャンネルは抗原抗体反応の際に関与するものとは異なることを明らかにした。さらにIgEのFc領域だけではなく、抗原結合部位近傍の領域が単量体IgEによるマスト細胞活性化に関与することを示唆する結果を得た。2.マスト細胞の分化、成熟による単量体IgEに対する応答性の変化単量体IgEによる活性化はBMMCのみならず、成熟腹腔マスト細胞でも起こること、また単量体IgEは皮内投与によりヒスタミン合成活性を増大させることを見いだした。さらにBMMCを線維芽細胞と共培養することにより分化させる系を用いて、分化に応じて単量体IgEに対する応答性が低下することを示唆する結果を得た。
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