Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
幼児期の心理的発達を客観的に把握するための尺度を開発し、「自己コントロール能力」、「言語・表現能力」、「身体活動能力」、「共感・協調能力」、「知的好奇心」、「創造的能力」の6側面から発達の様相をとらえることができることを明らかにした。上記の尺度を使用し、子どもの発達の様相を担任教諭に評価してもらった。結果として、園での自由遊び時間に「戸外でよく遊び、身体活動を好む」傾向のある幼児は、教師からの評価が高く、運動遊びが幼児の内面的な発達と深く関係していることを明らかにした。また、幼児の自由遊び時間における「運動遊び」と「室内遊び」の様子について観察を行ったところ、戸外においてダイナミックに身体を動かすような遊びは、園内での静的な遊びよりも、人間関係における経験の幅が豊富となる傾向のあることが認められた。このことから、幼児は運動遊びを通して経験の揺れ(葛藤、協調、喜び、がまんなど)の幅を広げ、それらの刺激を内面化し、心を育んでいる可能性の高いことが示唆された。上記の理論を検証するため、幼稚園での取り組みとして、積極的な「サッカークラブ」活動を展開している園に協力を依頼し、「環境として与えられた積極的な運動あそび経験の場」が幼児期の心理的な発達にどのような影響を及ぼすのかについて検討を行った。調査は、「サッカークラブ経験」での幼児の経験の質を観察法により検討することに加え、担任教諭及び保護者に子どもの発達の様相についての質問紙調査を実施した。結果は上記の理論をほぼ支持するものとなり、幼児期における運動遊びが心理的な発達に影響を及ぼす構造として、運動遊びの質が重要視されるべきであることを明らかにした。
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