Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究は,加速器質量分析(AMS)^<14>C年代測定を利用した古文書・古筆切の年代判定法の開発を行ったものである.そこで,以下の二つの目的をもって^<14>C年代測定を行った. 第一には,AMS^<14>C年代測定の古文書・古筆切資料に対する正確度・有効性を確かめるため,歴史学的に書写年代が判明している古文書・古写経などについての測定を行った.その結果,和紙については,測定によって得られる自然科学的な年代と,奥書・書風・内容などにもとづく歴史学的な年代とがよく一致し,AMS^<14>C年代測定法が古文書・古筆切の有効な年代判定法の一つとなることが示された. 第二には,年代未詳の古筆切,あるいは後代の模写・偽物の疑いがある資料について,その書写年代を明らかにすることを目的とし,^<14>C年代測定を行った.特に,藤原定家筆と伝えられていた二点の古筆切は,定家の活躍した平安時代のものではなく,後世になって作成されたものであることが^<14>C年代測定の結果から判明した.一方,藤原行成筆とされる古筆切については,10世紀末から11世紀初頭という行成の時代と符合する結果が得られた.さらに,この伝行成筆古筆切に使われている飛雲紙という装飾料紙は,11世紀半ばから12世紀初頭にかけて特異的に使用されていたものであると考えられていたが,^<14>C年代測定の結果から,その原初的なものの出現が10世紀末ないし11世紀初頭にまでさかのぼる可能性が示された.また,二条為氏や冷泉為相の筆とされる散逸物語切(すなわち現在まで伝えられることなく滅び去ってしまった物語が書写された古筆切)についての^<14>C年代測定では,それが鎌倉中期頃までには成立していた物語であることが示された.その他の古筆切についても,^<14>C年代という情報によって,古筆切の年代・書写者・料紙などに関する新たな知見が得られた.
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