Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
近年、コンピュータの普及によりテストの分野でも、コンピュータ適応型テストが実用化の段階に入ったが、現状のテスト理論では、出題する問題は、問題ごとに独立しているという仮定が必要な場合が多い。すなわち、適応型テストを行う際には、独立した小間単位で構成されたテストしか、理論的には行うことができない。しかし、現在、日本で行われているテストでは、ある文章を読んで、それについてのいくつかの問いに答えるといった、いわゆる大間単位で構成された試験問題が多い。本研究では、これまでの研究成果を一歩進め、問題の間に相関関係があるような、いわゆる大問形式であっても出題が可能となるような適応型テストのための方法を提案し、それを実装した汎用的に利用できるコンピュータ適応型テストシステムの開発を行った。平成14年度には、大間を取り扱うことのできる適応型テストのためのアルゴリズムの開発と、システムへの実装を行った。また、平成15年度は、システムの有用性を検討する実験を行った。そして、最終年度である平成16年度は、前年度に行った実験のデータ解析を行い、システムの有用性を検証した。この検証の後、本システムを用いてどの程度の数の受験者が、同時に試験を行うことができるのかを、さらに実験を行って検証した。平成16年度で行った実験では、平成15年度と違い多数の受験者に対して同時に試験を実施し、その際のシステムの動作を評価した。実験に際しては、当大学の計算機実習室を利用し、最大で60人程度に同時に受験させる実験を実施した。システムの仕様、利用マニュアルも含めた形の報告書を作成し、開発したシステムとともに、Webを通じて公開している。