Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
平成14年度は、ジスルフィド結合を3対含むタンパク質の巻き戻し系を確立することに成功した。平成15年度は、その巻き戻し系を用いて試料調製した抗菌ペプチド、オリクチンの立体構造をNMR法により決定した。また同時に、ジスルフィド結合を7対含むタンパク質、前胸腺刺激ホルモンの巻き戻し系の検討を進めた。前胸腺刺激ホルモンを大腸菌で発現させたところ、不溶性の封入体を形成した。通常用いられる大腸菌株BL21(DE3)Star(Invitrogen)に加え、細胞内でのジスルフィド形成が可能な大腸菌の変異株Rosetta-gami B(DE3)(Novagen)も宿主として生産を試みたが、あらゆる条件で不溶性の封入体を形成した。それゆえ、可溶化と巻き戻しについて、種々の条件検討を行った結果、6Mグアニジン塩酸塩による変性・可溶化、その後の希釈法巻き戻しによる立体構造形成により、大部分の前胸腺刺激ホルモンポリペプチド鎖が天然型と同じ二量体を形成することが明らかになった。その後、2段階のカラムクロマトグラフィーにより、この巻き戻し前胸腺刺激ホルモンを精製し、生物活性検定に供したところ、標品と同等の比活性を有した。このように、ジスルフィド結合を7対含むタンパク質、前胸腺刺激ホルモンの立体構造形成にも成功することができた。現在、この巻き戻しにより得られた前胸腺刺激ホルモンをもちいて結晶化実験を行っており、今後、X線結晶構造解析による立体構造解析を進める予定である。
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