Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
ヒアルロン酸糖鎖長の決定に関わる機構の解明と、生体内における糖鎖情報の解読を目的に、昨年度に引き続いて、ヒアルロン酸合成酵素HAS2の変異酵素を作製して生化学的解析を行った。その結果、昨年度同定したヒアルロン酸糖鎖長の決定に重要なアミノ酸への変異が、酵素の動力学的特性に影響を及ぼすことを明らかにした。また本年度はHAS2の変異遺伝子を用いて以下の手順によりノックインマウスの作製を試みた。HAS2触媒ドメイン内の糖鎖長決定領域にアミノ酸置換を有する変異合成酵素遺伝子を構築した。ゲノム遺伝子ライブラリーよりHAS2ゲノム遺伝子の一部を含む全長約20kbの領域をクローニングした。そして正常遺伝子を構成する一部のエクソンを変異遺伝子で置換したノックインコンストラクトを作製した。このコンストラクトをES細胞に遺伝子導入し、相同組み換えによって正常遺伝子と変異遺伝子が置換した細胞をPCR法により選別した。変異遺伝子の導入が正常に行われたことをサザンブロット解析により確認した後、そのES細胞を用いて定法によりノックインマウスの作製を行った。その結果、キメラマウスの作出に成功したものの何らかの原因により生殖細胞への変異遺伝子の移入が起きていなかった。従ってヘテロマウス以降の解析が困難となったため、再度ES細胞から相同組み換え体をスクリーニングし、その細胞の樹立を待ってノックインマウスの作製を継続して試みる予定である。
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