Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
HDAg(Hepatitis Delta Antigen)は全長195アミノ酸残基であるが、分析超遠心法によると見かけの分子量が六量体(140kDa)相当となっている。HDAgの会合はN末端のロイシンジッパーモチーフによって引き起こされると考えられること、HDAgのRNAポリメラーゼ結合能はC末端側の約70残基のみで再現されることが示されていることから、ロイシンジッパーを除いたHDAgのRNAポリメラーゼ結合領域(66残基、以下HDAg-Δ129と呼ぶ)のみのコンストラクトを研究に使用している。HDAg-Δ129のN末端GST融合蛋白質として発現させようとしているが、大腸菌破砕後、融合蛋白質の大部分は封入体となって不溶画分となり、可溶画分に得られたものは全体の一割程度である。そこで、HDAg-Δ129の可溶化・巻き戻しを試みた。グアニジン塩酸塩や尿素で不要画分を可溶化、洗浄後、様々なバッファー条件に急速希釈した。しかしながら、未だ良好な可溶化条件が見つかっておらず、NMR測定に供するには十分な量の試料を調製できていない。大腸菌を低温で培養することにより、封入体への経路を押さえることができるが、HDAg-Δ129では大きな効果は得られなかった。そこで、現在は使用するベクターや、コンストラクトを変えて、高収率に蛋白質が発現・精製できる条件を探索している。
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