Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
感覚刺激の遮断という方法を用いて、領野間機能的結合の可塑的性質について研究を進めた。1.蝸牛破壊によって聴覚を遮断したラットの作製一次聴覚野と周辺高次領野との領野間機能的結合の感受性期を調べるため、幼弱期(生後10日)および成熟期(生後28日)に蝸牛を手術により物理的に破壊したラットを作製した。さらに、比較検討のため、生後10日から28日にかけて、ストレプトマイシンを過剰投与して薬理的に蝸牛機能を破壊したラットも作製した。2.蝸牛破壊ラットから調整した大脳スライスを使った解析41野と20野との領野間機能的結合について、フラビン蛍光イメージング法により解析した。(1)「41野→20野」方向の機能的結合領野間境界付近での神経伝達は、幼弱期の蝸牛破壊により有意に減少した。成熟期での蝸牛破壊や、幼弱期から成熟期にかけての薬理的蝸牛破壊では、減少は見られなかった。また、41野の中心付近から20野までの遠距離の興奮伝播も、ほぼ同様の結果であった。これらから、「41野→20野」方向の機能的結合は、感覚刺激の有無により可塑的に変化し、その感受性期は幼弱期であることがわかった。(2)「20野→41野」方向の機能的結合領野間境界付近での神経伝達を解析した。幼弱期のみならず、成熟期での蝸牛破壊により、有意に減少した。つまり、「20野→41野」方向の機能的結合は、その感受性期は幼弱期に限られず、成熟期においても可塑的性質を保持していることが明らかになった。以上により、領野間機能的結合は可塑的に変化しうる結合であり、また、各々の結合には固有の感受性期があるとの結論を得た。
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