バクテリオファージのリアリスティックモデルによる遺伝子調節機構の研究
Project/Area Number |
14780637
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biomedical engineering/Biological material science
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下川 哲也 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (30335385)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | バクテリオファージ / ブラウン運動 / 遺伝子調節 |
Research Abstract |
本研究は,遺伝子調節機構のプロトタイプとしてバクテリオファージλのリアリスティックな計算モデルを構築し,コンピュータ上(in silico)でその遺伝子調節機構を解析することを目的とする.今年度はその最終段階として,遺伝子調節機構計算モデルの構築・解析を行った.その中でも特に,熱揺らぎが遺伝子調節機構に及ぼす影響に関する理論的解析を詳細に行った.具体的には以下の通りである. 1.まずこれまでの実験的に得られたデータ(遺伝子調節に関わるタンパク質の種類とその構造,化学反応の平衡定数や反応速度定数,遺伝子配列情報など)を収集・整理し,それらのデータを基に,バクテリオファージの遺伝子調節機構を記述する確率論的計算モデルを構築した. 2.確率論的計算モデルの解析法としては,反応速度論的解析法(決定論的解析+加法雑音,計算コストが低い近似計算)とモンテカルロ的解析法(計算コストが高い厳密計算)の2つが挙げられる.両解析手法の比較を行った結果,遺伝子調節系では前者の近似計算では誤差が大きすぎ,重要な現象を見落とす可能性のあることを確認した. 3.スーパーコンピューターによる解析も試みたが,アルゴリズムのベクトル化,並列化による計算速度の向上はさほど見られなかったため,高速CPUを持つパーソナルコンピュータによる解析に切り替え,合わせてモンテカルロ計算に基づくアルゴリズムの高速化を行った. 4.1998年にL.Arnoldによって提案されたRandom Dynamical System理論を遺伝子調節系の計算モデルに適用し,力学系としての解析を行った.その結果,熱揺らぎの存在により,生態系としては望ましくない劇的な系の変化(力学系でいう「分岐現象」)を抑え,系全体の安定化に熱雑音が貢献していることが明らかになった.
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)