Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度は離散力学系を定義する際に生じる特異点分布を研究した。特に、1次元の発展をもつQRT写像(Quispel-Roberts-Thompson mappings)および、2次元格子状の発展をもつ離散KdV方程式について、無限大や不定性がどのような場所に出現するかを調べた。定式化のため、クラスター代数理論におけるローラン現象(Laurent phenomenon、ある種の離散方程式について、方程式の解が初期変数のローラン多項式になるという現象)と、可積分性の関係を利用した。取り扱った方程式は双線形形式においてはローラン現象をもつので、一般項のローラン多項式の因数分解を行い、相異なる2つの項が共通因子を持つかどうかを調査した。この結果、QRT写像(の一種)と離散KdV方程式について、その一般項が既約なローラン多項式であり、従って相異なる2項は、互いに素である(つまり初期変数の単項式以外の共通因子を持たない)ことを証明できた。本年度の主たるテーマはこのような「互いに素」(co-prime条件)を調査し、離散力学系の可積分性との関連を研究することであった。2項が互いに素である性質によって、その2項は同時に特異点には成り得ないことが分かるため、従来の可積分性判定基準「特異点閉じ込めテスト(singularity confinement test)」の代数的な定式化であることがわかった。一方、本手法で既約性を証明するには、方程式ごとに個別の議論を行う必要があり、離散系の形によらない手法の発見が今後の課題である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2015 2014
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results, Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 2 results)
Journal of Mathematical Physics
Volume: 56 Issue: 2 Pages: 022706-022706
10.1063/1.4908109
Journal of Physics A : Mathematical and Theoretical
Volume: 48 Issue: 11 Pages: 11FT02-11FT02
10.1088/1751-8113/48/11/11ft02
Volume: 47 Issue: 46 Pages: 465204-465204
10.1088/1751-8113/47/46/465204