Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
深海底熱水活動域に固有の甲殻類ゴエモンコシオリエビを対象にした本研究は、異種生物間相互作用を糖鎖生物学的に分子レベルで解明し、応用展開することを目的としている。これまでに下記の成果が得られた。1.ゴエモンコシオリエビ腹部剛毛棘状構造はサイズによらず一定の長さ:ゴエモンコシオリエビを甲長によって大・中・小と3グループに分け、それぞれのグループの腹部剛毛の太さおよび剛毛上の棘状構造の長さを比較したところ、腹部剛毛の太さは甲長に依存して太くなるにもかかわらず(p ≦ 0.01)、棘状構造の長さはサイズに依存せず一定であることを発見した(p > 0.05)2.ゴエモンコシオリエビはその他の非共生性甲殻類剛毛よりも棘状構造が有意に短い:ゴエモンコシオリエビ腹部剛毛を、非共生性の甲殻類の剛毛と比較した。顕微鏡を用いて合計1928本の甲殻類の剛毛を観察した結果、ゴエモンコシオリエビの腹部剛毛はその他の甲殻類よりも棘状構造が有意に短い (p ≦ 0.01)ことを見出した。3.ゴエモンコシオリエビ腹部剛毛の形態は剛毛周りの流動を促進させる:腹部剛毛の形態と流動の関係を調べるため流体シミュレーションを行ったところ、剛毛周りの流動停滞部分の面積が棘状構造の長さと正の相関(R2=0.9)を示すことを明らかにした。すなわち、ゴエモンコシオリエビの腹部剛毛周りは、他の甲殻類の剛毛よりも流動停滞部分が少ないことが明らかとなった。このシミュレーションの結果は粒子接触試験からも裏付けられた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Microbes and Environments
Volume: 30 Issue: 3 Pages: 228-234
10.1264/jsme2.ME15066
130005099200