Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
近年、食事由来の高分子ペプチドが消化酵素の影響を受けずにそのまま血中へと移行することが報告されているが、血中へと移行した飼料由来の高分子ペプチドがニワトリの生理機能へ及ぼす影響について調査した報告は無い。昨年度は、反転腸管法を用いて小麦グルテンのトリプシン消化産物由来の高分子ペプチドが吸収されるか否か調査し、空腸よりも回腸で多くの高分子ペプチドの吸収が認められた。そこで本年度では、ウェスタンブロットによって検出された高分子ペプチドのアミノ酸配列およびタンパク質の種類をLTQ OrbitrapおよびMascotにより同定したが、高分子ペプチドはいずれも血中タンパク質であることが示唆され、ウェスタンブロット時に用いた一次抗体の特異性が低いことが示唆された。飼料タンパク質由来ペプチドの吸収機構を分子レベルで調査するためには、小腸上皮細胞を用いたin vitroでの試験が必要不可欠である。そこで、Wnt3a、R-spondin3、Nogginを産生するL-WRN細胞からconditioned mediumを調製した後、培地中へ添加し、さらにA-83-01およびY-27632を添加することで、高効率での腸管オルガノイドの形成を可能とした。また、ニワトリ腸管オルガノイドを免疫組織化学染色した結果、分化マーカーの染色が確認され、分化した状態の腸管オルガノイドの培養を可能となった。次に、調製した腸管オルガノイドを用いて、高分子ペプチドの吸収を調査することが可能か否か調査することを計画した。予備実験としてマイクロマニュピレーターを用いて腸管オルガノイドに蛍光標識デキストランを注入し、蛍光顕微鏡下でサンプルが漏出するか否か観察したところ、注入したデキストランは腸管オルガノイドから漏出してしまい、腸管オルガノイド中にサンプルを打ち込むことで物質の吸収を調査することは困難であることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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家畜栄養生理研究会会報
Volume: 61 Pages: 21-26
40021128856