Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
細胞性粘菌Dictyostelium discoideumが合成している4-methyl-5-pentylbenzene-1,3-diol (MPBD)は、D. discoideumの胞子成熟を誘導するだけでなく、これまでにほとんど報告がない走化性制御物質である。昨年度は、MPBDがD. discoideumのcAMPに対する走化性運動に必要なcAMPシグナリング関連遺伝子の発現制御を行うことで、細胞集合を制御していることを明らかにした。本年度は、MPBDによる走化性制御のさらに詳細な作用機構を解明するため、MPBDの胞子成熟誘導時における受容体とされているGタンパク質共役受容体 (CrlA)の遺伝子破壊株の作製・解析を行った。これまでに報告されているCrlA遺伝子破壊株は、MPBD欠損株とは異なる親株(KAx3)由来であったため、MPBD欠損株と同じ親株(Ax2)由来の破壊株を作製した。得られた破壊株(Ax2/crlA-株)の発生初期における表現型を解析したところ、MPBD欠損株とは異なり細胞集合に欠損は見られなかった。つまり、MPBDは発生初期にはCrlAを介して作用しておらず、胞子成熟誘導時の機構とは異なる作用機構で細胞集合を制御していると考えられた。ところが、驚くべきことにAx2/crlA-株は胞子形成にさえ欠損が全く見られなかった。PKAC過剰発現株を用いたバイオアッセイにより、Ax2/crlA-株は実際にMPBDに応答することができることも確認した。これらの結果は、Ax2株においては胞子成熟誘導時でさえ「CrlAはMPBDの受容体ではない」ことを示しており、これまでの報告を覆す重要な結果となった。本成果の意義・重要性は、これまでの報告を覆しただけでなく、解析に用いる細胞株を統一することの重要性を示した点にある。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2015 2014
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results, Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (3 results)
PLoS One
Volume: 9 Issue: 9 Pages: e106634-e106634
10.1371/journal.pone.0106634