Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
肥満は糖尿病や心筋梗塞だけでなく、様々な癌を促進することが指摘されている。申請者はHras遺伝子に活性化型変異を入れる化学発癌剤、DMBAを用いた全身性発癌モデルマウス実験により、肥満したマウスにおいて肝がん発症が著しく促進されることを見出した。そして2次胆汁酸である、デオキシコール酸(DCA)を産生するグラム陽性菌が肥満により増加することで、体内のDCA濃度が上昇し、腸肝循環により肝臓に運ばれたDCAが肝臓の間質に存在する肝星細胞の細胞老化を誘導し、様々な炎症性サイトカイン等の分泌を促進することで、肝がん促進的ながん微小環境を形成することを見出した。しかし、細胞老化を起こした肝星細胞が一体どのような機構を介して肝癌の発症を促進するのかについてはまだ十分には明らかになっていない。申請者は、肥満により増加したグラム陽性菌の外膜成分であるリポタイコ酸(LTA)が、肝臓に輸送されることにより、がん形成に有利な微小環境が形成されることで、肝がんの発症を促進することを見出した。LTAは、細胞老化を起こした肝星細胞のToll-like receptor 2 (TLR2)を介して、細胞老化随伴分泌(SASP)因子とシクロオキシゲナーゼ2 (COX2)の発現を誘導する。更に、COX2により産生されたプロスタグランジンE2(PGE2)が、免疫細胞のEP4レセプターを介して抗腫瘍免疫応答を抑制することで、肝がんの形成が進展することが分かった。さらに、線維化の少ないヒトの非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を素地とする肝臓の腫瘍部における肝星細胞では、COX2の発現ならびにPGE2の産生が著しく増加していたことから、ヒトでも同様のメカニズムが生じている可能性が強く示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2017 2015
All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Peer Reviewed: 1 results, Open Access: 1 results) Presentation (5 results)
Cancer Discov
Volume: in press Issue: 5 Pages: 522-538
10.1158/2159-8290.cd-16-0932