Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
これまでの研究では、主に中心星の近くを公転する惑星(近接惑星)の性質に注目し、惑星の遠方からの軌道移動の性質を探ってきた。しかし、このような近接惑星の性質を完全に理解するためには、より遠方に存在する惑星まで含めた惑星系全体の構造を考慮することが肝要である。そこで今年度は、ケプラー宇宙望遠鏡によって得られた測光データを用い、中心星から遠方にある惑星について以下の研究を行った。[長周期トランジット惑星候補の検出] ケプラー宇宙望遠鏡のデータからトランジットを検出する通常の手法では、公転周期が長く、観測期間中に1度しかトランジットしないような惑星は見落とされてしまう。そこで我々は、7557個のトランジット惑星候補天体の光度曲線から目視によるトランジットの探査を行い、公転周期が数年-20年ほどの海王星-木星サイズ惑星の候補を新たに7つ発見した。またこれらの結果から、ケプラーが発見したコンパクトな複数トランジット惑星系のうち少なくとも約2割が周期3年程度以上の巨大ガス惑星を持つことを示した。さらにこのような長周期の惑星に対し、太陽系の土星の持つようなリング構造の探索を行い、その候補をはじめて発見した。[遠方の非トランジット惑星の発見] トランジット法によって発見された惑星系の場合、たとえ複数の惑星が存在しても、軌道面が数度ずれているだけでその存在は見落とされてしまう。しかしこのような惑星であっても、内側にトランジットを生じる惑星が存在すれば、外側の惑星の重力が内側の惑星の軌道、ひいてはトランジット時刻に及ぼす影響を通じて、その存在を検出することができる。私はこの手法を用いた探索により、2つのトランジット惑星系においてトランジットしていない長周期の外惑星を発見し、その質量と軌道を決定した。また、この外惑星からの重力により、内側の惑星の軌道が長期的に変化した可能性が高いことを示した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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