脳神経系における組み替え体CNRゲノミック遺伝子の生成機構とその機能
Project/Area Number |
15011230
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉野 英彦 大阪大学, 生命機能研究科, 助手 (70270577)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 脳神経細胞ゲノム / イントロンレスCNR / 活性型LINE1 / レトロトランスポジション / クローンマウス |
Research Abstract |
CNR分子は脳内神経細胞シナプスで多く発現しているカドヘリン型接着分子ファミリーの一つである。ゲノム構造の解析の結果、14個の細胞外領域をコードする「可変領域エキソン」と細胞内領域をコードする「定常領域エキソン」が繋ぎ変わることで14種類の分子種を作り出していることを我々は明らかにした。このような構造は免疫系以外では初めての知見である(The Cell 4th edition)。そこで染色体上でのCNR分子の組み替え体の検索と解析を行い、脳における接着分子群の多様性獲得のメカニズムを明らかにする目的でこの仕事に着手した。 脳組織を用いたゲノミックPCRと、脳組織由来のゲノミックライブラリーのスクリーニングの結果、イントロンを欠くcDNA様のCNR遺伝子構造体を単離できた。その隣接塩基配列からゲノム中に逆転写再挿入(レトロトランスポジション)していることを明らかにした。14種類の全てのCNRがイントロンレスCNRとして単離された。興味深いことに全てのイントロンレスCNRは高頻度の塩基置換(1.31X10^<-3>)を受けており、そのほとんどがA>G,C>Tへの置換であった。このことはCNR-RNAあるいはCNR-DNAのエディティングの可能性を強く示唆する。最近になり哺乳類のゲノムに多数存在するLINE配列(ヒトでは全ゲノムの33%、マウスでは15%)がコーディングする逆転写酵素が、自身のみならず、他のmRNAをもゲノムに逆転写再挿入させることが培養細胞の系で報告された。そこで脳各組織由来のRNAを用いたRT-PCRとノーザンブロットを行ったところ、LINE1が脳組織で強く発現していることを見い出した。発現しているLINE1は強い逆転写活性を持つとされるL1Md-Tf型であった。またin-situハイブリダイゼーションの結果から海馬(CA1〜3,DG)、大脳皮質(2〜3層)、小脳(顆粒細胞層)での高発現を見出した。CNRゲノム遺伝子領域には通常(14%)より多くの頻度(40%)でLINE1の挿入が見られ、完全なORFを持つLINE1が2つ存在し、そのいずれも独自に転写されていた。これはCNRが発現している神経細胞では同時にLINE1配列も転写され、そのORF2により、その神経細胞中で発現しているCNR分子を逆転写再挿入させている可能性を強く示唆する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)