Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥5,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥5,200,000)
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Research Abstract |
本研究ではイオンチャネル型グルタミン酸受容体の結晶構造を用い,この受容体のリガンド認識および活性化のダイナミクスを理論的に解析した.まずは,グルタミン酸受容体のアゴニストおよびアンタゴニストの静電ポテンシャルおよび受容体リガンド結合ドメインの静電ポテンシャルを,量子化学計算によって調べた.全てのリガンドは,分子の両端に負の静電ポテンシャルを形成している一方,受容体リガンド結合部位は,Arg485を中心に正の静電ポテンシャルを形成していた.これらのリガンド・受容体間の静電ポテンシャルの相補性から,グルタミン酸受容体のリガンド認識には,静電気力が中心的な働きをしていることが明らかにされた. また,リガンドの結合は,まずArg485への結合から始まることも示唆された.受容体活性化メカニズムの解明のために,リガンドおよび受容体の基準振動を調べ,アゴニストとアンタゴニストの結果を比較したところ,アゴニストが共通に持っているもののアンタゴニストは持っていない振動モードが,受容体と水素結合を介して振動相互作用することをつきとめた.そこで,この振動モードがアゴニストとArg485との間の衝突によって振動励起する確率を量子力学的に計算した.その結果,サブピコ秒の時間オーダーでこれら2つの振動モードは励起することがわかった.この振動励起のエネルギー源は,静電相互作用によって加速されたアゴニストの運動エネルギーであった.最後に,受容体リガンド結合ドメインにおけるArg485の振動励起エネルギーの移動過程を,分子動力学シミュレーションによって調べたところ,約3ピコ秒でJヘリックスの原子にサブÅの変位が起こることがわかった.Jヘリックスは,サブユニット間の結合部位に位置している.サブユニット間の結合部位に起こる原子変位は,サブユニット間の会合に摂動を与え,イオンチャネルを開口へと導くのであろう.
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