Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
わかりやすい最終ディフェンスである経済工学的リスク管理によって「(当該研究領域の公募概要に掲げられている)安心して生活できる情報環境」に貢献すべく,3つのアプローチを併用した. 第一に,金融工学的基礎理論構築と産業経済学的実態調査を行い,本研究の本質的方向性に関する正当性確認を完了させた.前者では,情報セキュリティ基盤に起因する信用リスクをヘッジする金融派生商品を定義し,その価格評価理論を,離散時間モデルに対応できる設定で完成させた.後者では,セキュリティ分野における産学連携の実態が不十分なレベルであることを明らかにし,第二・第三のアプローチで完成度を高めるために必要となる課題を抽出した. 第二に,リスク定量化を推進する政策学的施策設計を行い,リスク管理の実現性に関する社会制度的基礎を整えつつある.第一のアプローチで考察した派生商品を導入可能とするためには,リスク指標の定量化が必要である.その必要性を,本特定領域研究の領域内連携を活用し,法と経済の立場から理論的に明確化した.論文発表だけでなく,施策提言と実現という手段でも社会貢献を試み,実際に経済産業省の情報セキュリティ総合戦略に盛り込まれた. 第三に,ネットワーク取引に関わる可用性確保と事後紛争解決機能のための暗号学的・工学的要素技術開発を行い,リスク管理サービスを提供するシステムの実現性に関する技術的基礎を整えつつある.具体的には,IPレベルの不正者追跡技術,秒単位まで精度を高めた電子時刻印システム,未知の分散サービス妨害攻撃を検知する技術に関して,初期的なシステム構成や基本性質を示した. 以上要するに,本研究の本質的方向性に関する正当性確認を終了するとともに,実現性に関して社会科学的基礎と工学的基礎を整えつつある.今後は是非研究を継続し,第二・第三のアプローチの完成度を高め,全体をとりまとめる必要があろう.
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