Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥5,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥5,200,000 (Direct Cost: ¥5,200,000)
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Research Abstract |
我々は基質遷移状態概念に基づいて,アスパラギン酸プロテアーゼに属するHIVプロテアーゼ阻害剤のデザインと合成を行い,理想的な遷移状態ミミックとして独創的なヒドロキシメチルカルボニル(HMC)イソステアを見いだし,さらに低分子化にも成功した.このKNIシリーズの低分子HIVプロテアーゼ阻害剤は、次世代抗HIV薬として期待されている.HIVプロテアーゼ阻害剤は画期的な成果を挙げたが,大量投与が必要であること,また副作用および耐性克服など解決すべき問題点が山積みである. そこで,理想的なHMCを含むジペプチド型HIVプロテアーゼ阻害剤をデザインすることにより,耐性克服可能な組織移行性の高い低用量抗HIV薬を合成した.さらに,ジペプチド型HIVプロテアーゼ阻害剤のO-N分子内転位反応を利用した水溶性プロドラッグをデザインし合成した. 一方,地球温暖化の進行によりマラリアが我国にも流行する可能性が憂慮されているが,マラリア原虫の増殖に重要な役割を果たす酵素Plasmepsin IIがHIVプロテアーゼと同じアスパラギン酸プロテアーゼに属することがわかった.現在使用されているマラリア治療薬は耐性が問題となって来ており,新しいタイプの抗マラリア薬の開発が急務の課題となっているので,HIVプロテアーゼ阻害剤開発のノウハウを用いて抗マラリア薬のデザインと合成を行った.そして,ジペプチド誘導体KNI-10006が4種類のPlasmepsin全てに活性を示し,活性部位に柔軟にフィットして高い活性を示す阻害剤でありこれをadaptive inhibitor(適応型阻害剤)と名付けた.このAdaptive inhibitorの概念はScienceでハイライトされ注目されている.
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