がん細胞で生じる染色体不安定性を引き起こす分子機構の解明
Project/Area Number |
15024223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
深川 竜郎 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教授 (60321600)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
Fiscal Year 2003: ¥4,700,000 (Direct Cost: ¥4,700,000)
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Keywords | 染色体不安定性 / 染色体分配 / セントロメア / DT40細胞 / Nuf2 / Hec1 / 紡錘体チェックポイント / 条件的ノックアウト |
Research Abstract |
染色体が安定に次世代細胞へと受け継がれていくことは、生物にとって最も基本的な性質である。染色体分配機構に狂いが生じると、染色体の異数化、がん化など生物に対して重大な悪影響が生じる。染色体の不安定性に関する基礎知見はがんの生物学的特性を理解する上で重要である。我々はがん化と染色体不安定性の関係を理解するために、各種セントロメアタンパク質の機能解析を行っている。本年度は、紡錘体チェックポイント機構との関連が予想されるNuf2およびHec1の機能解析を遺伝子ノックアウトおよび細胞生物学手法を用いて行った。作成したノックアウト細胞についてはtetを添加した制限条件下で、細胞増殖の有無、細胞周期の進行や小型化染色体の安定性、微小管タンパク質や紡錘体チェックポイントタンパク質の異常、特殊顕微鏡装置を用いた生細胞観察、他のセントロメアタンパク質の細胞内局在等を解析した。その結果、Nuf2およびHec1のノックアウト細胞においては、CENP-A,-C,-H,-Iの局在は変化しなかった。一方これまでに作成したCENP-Hや-Iのノックアウト株でNuf2およびHec1の局在を解析した結果、セントロメア局在が失われた。また、Nuf2およびHec1のノックアウト株は紡錘体チェックポイント機構が活性化されて細胞分裂期に遅延して死滅した。しかしながら、紡錘体チェックポイント機構に関わるMad2のセントロメア局在が失われていた。Mad2以外にチェックポイント機構に関わるBubR1はセントロメアに局在していたので、Nuf2およびHec1ノックアウト株の細胞分裂期遅延は、Bub経路による紡錘体チェックポイント機構の活性化によるものと考えられた。紡錘体チェックポイント機構におけるNuf2およびHec1の役割を調べる目的でFRAP解析を行ったところ両タンパク質ともセントロメアにおいて大変安定であると言う結論が得られた。これらの結果を総合的に考えると、「Nuf2およびHec1は、セントロメアにおいて構造タンパク質として働き、Mad2を中心とした紡錘体チェックポイント機構が働く場を提供している」というモデルを現在考えている(J.Cell Sci.,2003)。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)