光線力学的癌治療における効果的光増感剤創製への新規原理
Project/Area Number |
15025212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石井 和之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20282022)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 光線力学的治療 / フタロシアニン / ポルフィリン / 一重項酸素 / 励起多重項状態 / 光増感剤 / 光毒性 / 癌 |
Research Abstract |
本研究では、新たな癌治療法として注目されている光線力学的治療(PDT : Photodynamic Therapy)における光増感剤フタロシアニンを多機能化することで、効果的な光増感剤創製への新しい原理を見出すことを目的とする。 光毒性を与える励起一重項酸素の効率良い生成には、現存する光増感剤の場合、一般に毒性の強い重原子を必要とする。そこで本年度は、重原子を用いない一重項酸素生成効率、及び光線力学的効果の向上を検討した。 (1)常磁性有機ラジカルとの相互作用 フタロシアニンからのエネルギー移動により生じる一重項酸素生成に対して、フタロシアニンへの常磁性有機ラジカル結合の効果を検討した。結果として、1つのラジカルと結合することで50%、2つのラジカルと結合することで100%一重項酸素生成功率を上昇することに成功した。"常磁性種との相互作用は光反応収率を下げる"という常識を覆した本研究成果は、J.Am.Chem.Soc.に掲載された。さらに、これら有機ラジカル結合型フタロシアニンのヒト子宮頸癌由来細胞HeLaに対する光毒性を検討した。結果として、有機ラジカルと結合することで、光線力学的効果を上昇できることを明らかにした。 (2)π電子系の低対称化 縮合ベンゼン環の数、位置を変化させた、様々なフタロシアニン誘導を合成し、励起状態エネルギーと一重項酸素生成効率の相関を検討した。その結果、π電子系を低対称化し、励起一重項S_<1x>-S_<1y>、三重項T_<1x>-T_<1y>間エネルギー分裂が大きくするほど、項間交差が促進され、一重項酸素生成効率が上昇することを見出した。この原理を利用し、無金属体の一重項酸素生成効率を、Zn体のそれと同程度まで上昇できることが明らかとなった。 このように、重原子を用いずに、一重項酸素生成効率、及び光線力学的効果を向上するための新規指針を得た。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)