Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Research Abstract |
インテグリンを介した細胞と細胞外マトリックス(ECM)との相互作用は、発生時の形態形成や組織構築ばかりでなく、細胞の生存維持と増殖、分化の制御に深く関わっている。癌細胞では特定の糖鎖の構造をもった癌細胞は転移しやすいことが明らかになっているが、詳細な分子メカニズムに関してはほとんど不明である。その分子的基盤の解明は癌細胞の転移、浸潤の原因解明に不可欠である。最近癌抑制的に働くbisecting糖鎖を合成するkey酵素N-アセチルグルコサミン転移酵素III(GnT-III)を高発現させた癌細胞ではインテグリンalpha5beta1を介する接着性や浸潤能が著しく抑制され、また接着と伴うFAKリン酸化も抑制された。そのメカニズムとしてはbisecting糖鎖構造を持つインテグリンalpha5beta1がファイブロネクチンとの結合活性が低下することを証明した(Isaji, T.,et al.,J.Bio.chem.,in press,2004)。さらに申請者は、GnT-IIIを高発現した神経細胞PC12を用いてインテグリンの機能を調べたところ、糖鎖の改変によってインテグリンと増殖因子受容体間の相互作用が消失され、神経細胞様な樹状突起の形成が強く阻害されることを明かにした(Gu, J.,et al.,Glycobiology,14:177,2004)。現在、我々はGnT-III、GnT-Vのみならず(Nakahara, S.,et al.,Mol.Cancer The rap.2:1207,2003)、他の糖鎖遺伝子を駆使して(Noda, K.et al.,Cancer Res.63:6282,2003;Inamori, K.,J.Biol.Chem.278:43102 2003)、インテグリンの機能制御に重要な糖鎖上のモジュールを明らかにし、合成糖鎖を用いて機能制御が可能かどうかを検討する。このような改変されたインテグリンから伝達されるシグナルの実体の解明は、癌転移、浸潤の制御機構を解明し、それを人為的に制御する新しい方法論の開発に不可欠である。
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