Helicobacter pylori感染と胃粘膜病変の検討 ―特に胃癌との関わり―
Project/Area Number |
15026201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浅香 正博 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10113507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 元嗣 北海道大学, 医学部附属病院, 助教授 (60271673)
杉山 敏郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00196768)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥5,100,000 (Direct Cost: ¥5,100,000)
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Keywords | H.pylori / EMR / 除菌 / 萎縮性胃炎 / 腸上皮化生 / 胃癌 |
Research Abstract |
第1次調査は全国31施設を対象に、早期胃癌に対するEMR後の二次癌発生と,H.pylori除菌の有無を調査した。第2次調査は全国23施設を対象に、内視鏡検査で5年以上経過観察されている症例における胃癌の発生と除菌治療の有無について調査した。 第1次調査で、EMR症例のうち非除菌群は2469例、除菌群は356例で、二次癌の発生はそれぞれ129例と8例で二次癌の年間発生率は5.8%と1.7%で有意差を認めた。除菌後の二次癌の特徴は男性が多くIIcの高分化型のM癌が多い傾向にあった。第2次調査でほ、胃癌以外の患者で5年以上の経過観察を行い得た症例の検討を行った。非除菌群は11788例、除菌群は1233例で、初発胃癌を非除菌群で43例、除菌群で23例認め、胃癌の年間発症率は0.45%と0.22%で有意差を認めた。除菌後に発生した初発胃癌は、非除菌群のものと比べ男性に多くサイズも小さく、潰瘍合併例が少なかった。また、発生部位、肉眼型には差を認めなかったが、中分化型や低分化型の頻度が少ない傾向にあった。組織型、癌の発見時期には両群間に差がなかった。 これまで、H.pylori除菌による胃癌発生予防については、上村らが行った120例の早期胃癌患者に対してEMR後、除菌により二次胃癌が発生しなかったという報告のみであった。今回、retrospective studyであるが、全国31施設における協同研究により、上村らと同様の結果が得られた。すなわち、早期胃癌患者にEMRを施行後に、H.pylori除菌を行うと、二次胃癌の発生が非除菌例に比し3分の1に減少した。このことは、H.pylori除菌療法が胃癌の発生予防に有用であることを示していると考えられる。早期胃癌のEMR施行後、二次胃癌の発生する率は5年で3-5%と非常に高いことより、除菌による介入試験には適した方法と思われる。胃癌発生リスクのより少ない胃炎患者について検討を行った2次調査の結果でも、除菌群は非除菌群に比し、明らかに胃癌発症の頻度が低かった。これらの結果より、H.pyloriの除菌は胃癌発症予防にとってきわめて有用な方法と思われるが、これからはprospectiveな方法を用いた臨床試験が行われることによって、さらに除菌による胃癌予防が現実のものとなることが期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)