植物細菌病の発病制御機構の解明 ―耐病性植物創出を目指して―
Project/Area Number |
15028214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
曵地 康史 高知大学, 農学部, 教授 (70291507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木場 章範 高知大学, 農学部, 助教授 (50343314)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | 青枯病 / タイプIII分泌系 / hrp / タイプII分泌系 / 菌体外多糖 |
Research Abstract |
1.青枯病菌増殖における葉酸生合成の役割 宿主植物へ侵入直後の細胞間隙における青枯病菌の増殖の有無は、導管病である青枯病の発病を左右する。また、その増殖は宿主植物へ侵入後3時間の宿主植物との相互作用により決定される。そこで、細胞間隙での青枯病菌の増殖因子同定を目的に、in vitroで増殖できるが、細胞間隙では親株OE1-1とは異なり増殖能が著しく劣り、感染植物に萎凋症状の誘導が認められないトランスポゾン変異株RMを作出した。RMは葉酸生合成系の1遺伝子であるpabBの変異株であった。葉酸を前処理したタバコの細胞間隙で、RMはOE1-1と同様に増殖し、接種植物は萎凋症状を呈した。さらに、RMを導管に接種すると、RMは導管でOE1-1と同様に増殖し、接種植物は萎凋症状を呈した。すなわち、宿主植物において青枯病が増殖するために必要な増殖因子は組織ごとに異なると考えられ、青枯病菌での葉酸生合成は、青枯病発病に重要な役割を担う青枯病菌の細胞間隙での増殖には必須であるが、直接的な病原力を発現する場である導管での増殖には必ずしも必要でないと考えられた。 2.hrpレギュロンとEPS生産との関連性 -青枯病菌の病原力の質的制御と量的制御の相互関連- 青枯病の発病は、hrp遺伝子群がコードするタイプIII分泌系を介して分泌されるエフェクターと植物との相互作用により質的制御されており、菌体外多糖(EPS)などの病原力因子により量的な制御が行われている。これら2つの病原性制御に関わる遺伝子の発現制御について解析したところ、EPS生産誘導の主因子であるPhcAがhrp遺伝子の発現を負に制御しており、その制御は、植物シグナルを認識するPrhAからhrp遺伝子の制御因子であるHrpBにいたるカスケードのPrhJの上流で行われていることが示唆された。すなわち、侵入直後のタイプIII分泌エッフェクターと植物との相互作用により、青枯病菌の細胞間隙での増殖が決定され、青枯病発病の質的決定がなされる。続いて、青枯病菌の増殖によるクオラムセンシングを誘発する3-OH PAMEを介して脱抑制されるPhcAにより、hrp遺伝子群の発現が抑制されるとともに、EPS生産が誘導され、青枯病発病の量的制御がなされると考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)