Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
高等植物における側根形成の分子機構を解明する目的で、シロイヌナズナ側根欠失優性変異体slrと原因遺伝子IAA14、オーキシン応答性転写調節因子ARF7/ARF19、およびslrのサプレッサー変異体ssl2と原因遺伝子SSL2/CHR6を用いた分子遺伝学的研究を行い、以下の成果を得た。1、側根形成を制御するSLR/IAA14とARF7、ARF19の機能解析(1)IAA14がARF7、ARF19タンパク質と相互作用することを酵母two-hybrid実験において確認した。これらの結果などから、ARF7、ARF19が側根形成促進に働き、IAA14がARF7/ARF19の負の調節因子として働くことが強く示唆された。(2)側根形成に関わる遺伝子群を同定する目的で、野生型とslr変異体の根における発現プロファイルをDNAマイクロアレイにより比較・解析した(ベルギーBeeckmanらと共同研究)。その結果、細胞周期関連遺伝子、オーキシン代謝や輸送に関わる遺伝子がslrで抑制されていることがわかった。2、側根形成に関わるクロマチンリモデリング因子SSL2/CHR6の解析(1)ssl2 arf7 arf19三重変異体とssl2 slr arf7 arf19四重変異体の作出と解析を行った結果、ssl2変異がarf7 arf19二重変異体の側根形成能を回復させないこと、およびssl2 slr二重変異体の側根形成能がARF7、ARF19に依存することが明らかとなった。したがってSSL2は側根形成を促進するARF7、ARF19の直接の標的遺伝子の発現に関わると考えられる。(2)slrとssl2 slr変異体を用いたマイクロアレイ解析を行い、ssl2変異による側根形成の回復に伴って発現する遺伝子群を複数同定した。
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細胞工学別冊 植物細胞工学シリーズ「新版植物ホルモンの信号伝達」 20
Pages: 39-51