アミロイド線維形成反応の蛋白質立体構造に基づく研究
Project/Area Number |
15032228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
後藤 祐児 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (40153770)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥7,200,000 (Direct Cost: ¥7,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥4,200,000 (Direct Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 生物物理 / ナノ材料 / 生体分子 / 蛋白質のフォールディング / 老化 / アミロイド線維 / 蛋白質の構造安定性 / 透析アミロイドーシス / 蛋白質の構造安定化 |
Research Abstract |
本研究では、アミロイドーシス発症の分子機構を、蛋白質の動的立体構造や物性に基づいて、原子レベルで解明することを目指している。透析アミロイドーシスの原因蛋白質であるβ_2ミクログロブリンとアルツハイマー病に関わるアミロイドβペプチド(Aβ)などのアミロイド原性蛋白質を用いて、アミロイド線維の形成反応、アミロイド線維の構造安定性に関する研究を行った。これに基づき蛋白質の正常なフォールディング反応と、アミロイド線維などを生じるミスフォールディング反応の、構造物性的な相違を明らかにした。 1.全反射蛍光顕微鏡を用いたアミロイド線維の一分子観察を、Aβペプチドに適用した。シードに依存したアミロイド線維の伸長反応を、一線維レベルで、またリアルタイムで極めて鮮明な蛍光顕微鏡画像として観察することができた。これにより、Aβアミロイド線維が3本のプロトフィラメントから構成されること、モノマーペプチドが過剰に存在する条件下では線維形成速度は一定であり、定常状態反応に近いことなど、線維形成機構の詳細を推定することができた。 2.アミロイド線維形成反応は立体特異的な反応であることをアミノ酸のL/D光学異性体を用いて研究した。この目的には、β2ミクログロブリンのK3ペプチドを用いた。シード依存性の伸長反応では、シードとモノマーベプチドのL/D異性が一致する時にのみ伸長反応が観測された。 3.アミロイド線維形成反応の熱力学的機構を解析した。β2ミクログロブリンの酸性でのシード依存性アミロイド形成反応を等温滴定型熱量計によって測定し、アミロイド線維形成に伴う熱力学量を明らかにした。これを示差走査熱量計によって測定したβ2ミクログロブリンの熱変性に伴う熱力学量と比較した。この結果、ネイティブ構造と比較して、アミロイド線維のパッキングの程度は低いことが示唆された。「ネイティブ構造が側鎖主体の構造であるのに対して、アミロイド線維は主鎖主体の構造」という考えがあり、本結果はそれを支持する。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)