Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
土壌や地下水の汚染物質として問題視されている有機塩素化合物の無害化効率を向上させることを目的に実験を行った。まず、気相中におけるトリクロロエチレンの光触媒分解においては2つの方法により無害化効率を向上できた。1)副生成物の2次的な処理副生成物として、ジクロロ酢酸、ホスゲン、クロロホルムが生成した。このうちジクロロ酢酸は酸化チタン表面に蓄積するが、水蒸気を含む空気を流して光照射することにより、ホスゲンと二酸化炭素に分解できた。反応後のガスに含まれるホスゲンはアルカリ性の水溶液に通すことで除去できた。一方、クロロホルムは十分な接触時間をとることで、酸化チタン上において二酸化炭素へ完全に分解できた。ただし、クロロホルムの場合は生成した無機の塩素が触媒表面に蓄積するために、光照射時間の増加とともに触媒活性が著しく低下した。この低下を抑えるために、水酸化カルシウムを共存させることが有効であることを見出した。2)副生成物の生成を抑制する手法の確立:ゾル-ゲル法で作成した酸化チタンペレットを粉末に粉砕し、銅粉や水酸化カルシウム粉末と共存させると、これらが無機の塩素をトラップし、有害な副生成物の生成を抑制できることを見出した。さらに、水酸化カルシウムを表面につけたペレットを作成し、副生成物の生成抑制への効果について調べた。その結果、ペレットでも塩素がトラップされ、二酸化炭素への完全分解率が増加することを見出したが、副生成物の生成への抑制効果は粉末系の方が優れていることがわかった。一方、水系では、酸化チタン表面をシリル化して疎水性場を導入し、水中からのトリクロロエタンの吸着除去率を70%まで向上させることができた。しかし、疎水性が高すぎると酸化チタンの正孔により直接疎水性場が分解され、トリクロロエタンの光触媒分解効率が減少した。導入する疎水性部分の炭素含量と光触媒活性の関係を調べたところ、導入量は0.6C%以下の低濃度領域で実験することが必要であることがわかった。
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