Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Research Abstract |
立体化学的なフレキシビリティをもつポリピラゾリルボラト配位子[BR_n(pz)_<(4-n)>]^-並びにNO^+-NO^-のレドックス特性に起因する電子構造的なフレキシビリティをもつニトロシル配位子(NO)のルテニウム錯体に注目し,立体化学的および電子構造的なこれらフレキシビリティが,錯体形成や生成錯体の化学反応性などに与える影響を明らかにし,今後の錯体分子設計に有益な知見を得ることを目的とした。 ニトロシル(ポリピラゾリルボラト)錯体[RuCl_2{BH(pz)_3}(NO)](本錯体のニトロシル配位子NOは,形式上+1価の直線型である)を,HC≡CR型またはHC≡CC(R'_2)OH型(プロパルギルアルコール類)の末端アルキンで処理し,アセチリド錯体[RuCl{C≡CRまたはC≡CC(R')_20H}{BH(pz)_3}(NO)]を得た。前者のモノ(アセチリド)錯体にプロトン酸H[BF_4]を用いる水和反応を行うと,β-ケトニル有機金属錯体(当面,η^2-アルキン種経由を推定)が生成した。α-アシル錯体種の生成は認められなかった。後者のモノ(アセチリド)錯体でR'がMeかPhの場合には,α,β-不飽和アシル錯体(脱水したアレニリデン錯体種[RuCl{BH(pz)_3}{=C=C=C(R')_2}(NO)]^+経由と推定)を得た。(アセチリド)ルテニウム(II)錯体の水和反応では,β-ケトニル錯体の生成は全く知られておらず,本研究で初めて見い出された。 さらに現在,銅(I)触媒を用い様々なビス(アセチリド)錯体[Ru(C≡CR)_2{BH(pz)_3}(NO)]を合成し,H[BF_4]等のプロトン酸を用いる水和反応を行い,ビス(β-ケトニル)錯体種,(β-ケトニル)アセチリド錯体種などを単離した。さらに,メタラシクロペンテノン構造の有機金属錯体も得られ,その構造,性質,生成機構などを現在検討している。
|