触媒活性部位での多元的協調作用を活用する人工酵素の開発
Project/Area Number |
15036243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笹井 宏明 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90205831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DOSS Jayaprakash 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (60343240)
滝澤 忍 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50324851)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 複合金属錯体 / 二重活性化機構 / 多点制御型不斉触媒 / 不斉ホモカップリング反応 / バナジウム二核錯体 / バイノール / ビフェニル / 酸化反応 |
Research Abstract |
申請者が開発した二つの異なる金属を有する複合金属錯体Al-Li-bis(binaphthoxide)(ALB)やLa-Li-tris(binaphthoxide)(LLB)は、中心金属がルイス酸として、アルカリ金属-酸素結合がブレンステッド塩基として機能し、反応の両基質を活性化するとともに、触媒の多数の不斉配位子が基質の配向を高度に制御する。活性部位での多元的協調作用を利用する不斉触媒である。 今回、新展開として、特に不斉ホモカップリング反応のような同一種の二分子の基質に対する新しいタイプの二重活性化機構を有する触媒の開発研究を行った。R体のジホルミルビナフトールとアミノ酸であるtert-(S)-ロイシンから導かれるジイミン体に対し四当量の酸化硫酸バナジウム(VOSO_4)を添加することにより新規バナジウム二核錯体(R,S)-1を合成した。酸素雰囲気下、2-ナフトールのカップリング反応に錯体(R,S)-1を用いたところ、収率83%、光学収率83%eeでカップリング体が得られた。本反応は、過剰の酸素雰囲気下よりも空気中程度の酸素濃度で反応を行った場合の方がエナンチオ選択性は高いことが明らかとなった。新規二重活化機構の存在を明確にするために反応溶液のFAB-Mass、NMR、ESR測定による反応中間体の解析、及び、錯体(R,S)-1と類似の構造を有する単核錯体2を合成して、2-ナフトールのカップリング反応における反応速度解析を行った。カップリング反応は2-ナフトールに対して二次の反応として解析でき、20℃での二核錯体(R,S)-1の反応速度は、単核錯体2の約48倍であった。また二核錯体(R,S)-1を用いた2-ナフトールのカップリング反応では、カップリング体の不斉収率は反応初期から高く、二核錯体(R,S)-1の持つ二重活性化機構は触媒活性とエナンチオ選択性の両方の向上に寄与していることが明らかとなった。 また、ビフェニル骨格を持つ二核錯体3を調製して、触媒活性を調べた結果、二核錯体3は、二核錯体(R,S)-1と比較して触媒活性に若干の低下がみられるものの二重活性化機能は保持していることが明らかとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)