Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
動物の成長促進は第一義的に飼料摂取量の増加によって達成できる。脳内で合成され摂食量促進効果をもつ生理活性物質については既にニューロペプチドY(NPY)、アグーチ関連蛋白質(AGRP)などが知られ、脳内の視床下部の摂食中枢レセプターに結合することによってその作用を生ずる。それゆえ末梢投与では効果が期待できないと考えられている。しかしながら、非ウィルス性生体遺伝子導入法により、抹消へ摂食抑制系生理活性物質を強制発現させることにより、動物の摂食量を減少させ、成長を抑制することが可能であるこを示した。そこで、本年度は摂食高進作用を持つAGRPの末梢投与により動物の成長促進が可能であるかを調査した。研究結果の概要は以下の通りである。1.AGRP遺伝子による飼料摂取量、体重、脂肪組織重量に及ぼす影響を調べるため、マウスへエレクトロポレーション法、並びに流体力学法を用いて生体遺伝子導入を行った。2.導入遺伝子はプラスミドに組み込んだAGRP発現ベクターを用いた。3.エレクトロポレーション法による生体遺伝子導入の結果、対照区と比べて有意な体重の増加と飼料摂取量の増加が観察された。また、体重は増加しても、副睾丸周囲脂肪組織重量に変化は見られず、余剰な脂肪蓄積が生じるわけではないことを確認した。4.エレクトロポレーション法による生体遺伝子導入の結果、脳内の視床下部で、NPY遺伝子発現量の増加が観察された。5.流体力学法による遺伝子導入では、飼料摂取量および体重に変化は見られなかった。副睾丸周囲脂肪組織重量も同様に変化は見られなかった。6.元来脳内で生理作用を発揮すると考えられてきたAGRPだが、エレクトロポレーション法により末梢組織で強制発現させれば、脳内の摂食中枢神経へシグナルを伝達し、動物の成長を促進することが明らかとなった。7.非ウイルス性生体遺伝子導入により、摂食量改善と成長促進をもたらすことが可能であると結論した。
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Neuroscience Letters 370・2-3
Pages: 108-113