Research Abstract |
近年,交通行動の行動変容に着目した様々な研究が,日本や海外において,そして,交通計画や応用社会心理学等の様々な分野の中で始められている.そうした研究では,キャンペーンの効果を分析したり,双方向のコミュニケーションで人々の行動に影響を及ぼす技術を開発したり,あるいは,TDM施策による態度や意識や認知の変化を分析したり,等がなされ,よりよいTDM施策を考えるための基礎的な技術的,行動学的,心理学的な様々な知見が得られはじめている.ただし,こうした心理学的交通工学,あるいは,交通工学的心理学は未だ黎明期にあり,様々な国の,様々な分野の研究者と実務家が十分に意見交換・知的交流を果たしているという現状とはなっていない. 本研究は,まさにこの問題点に着目し,心理学的・交通工学者と交通工学的・心理学者を国内外から集める「Engineering & Psychology for Travel Demand Management」と題した国際シンポジウムのための企画調査を行った.企画調査ではまず,国内外の研究レビューを行い,交通計画においては,心理学における行動変容と態度変容の研究が中心的な役割を担うことを確認し,それに関わる複数の工学,ならびに,心理学の研究者をリストアップした.そしてその中の複数人と議論を交わし,基本的な共通認識を形成した.また,年度内では,国内において交通計画者,ならびに,心理学者を対象としたセミナーも開催し,心理学的交通工学,あるいは,交通工学的心理学の重要性を示すとともに,聴衆から意見を集めることで,次年度以降のシンポジウム開催に向けての議論に反映することとした.
|