Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
本研究では、わが国の新規開業企業に関する独自の質問票調査のデータに基づき、新規開業後のパフォーマンスが開業時の資金調達方法によってどのように異なるかを分析した。その結果、ビジネスエンジェルから資金を調達した新規開業企業は、成長率が高いことが明らかになった。また、エンジェルからの資金調達は、成長企業の上位5%、上位10%(とりわけ売上高成長)といった少数の急成長企業の輩出にも大きな貢献をしていることが明らかになった。エンジェルからの資金調達の利用については、独立系企業、株式会社形態を採る企業、若い企業家、自ら創業した企業家、株式公開志向の企業家において、エンジェルからの資金調達を利用する傾向にある。一方、銀行から資金を調達した新規開業企業においては、成長する傾向は見られなかった。創業者自身の資金や、創業メンバーや家族からの調達についても、開業後のパフォーマンスに影響を与えていない。こうした結果は、外部株主資本の利用が中小企業の高成長の達成を支援するうえで重要な役割を果たしていることを示した海外の先行研究とも一致する。本研究の分析結果は、急成長企業を輩出するための支援施策のあり方を考えるうえでも多くの示唆を提供するが、新規開業企業および中小企業の外部株主資本の積極的な利用にあたっては、需要面、供給面の両面において多くの課題がある。多くの企業家(中小企業経営者)が外部株主資本の利用に消極的であるため、企業家に対する教育・啓蒙活動が必要であろう。加えて、企業家が投資家に対してビジネスプランの魅力やリスクを説明するための、ビジネスプランニングに関する教育も必要である。一方、供給面においても、企業家とビジネスエンジェルが出会える場の設定を通じて、エンジェルによる資金供給の促進を図っていく必要があろう。
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中小公庫マンスリー 2006年2月号
Pages: 6-11
(社団法人)大阪銀行協会フォーラム 2月
Pages: 1-17
国民生活金融公庫調査月報 11月号
Pages: 12-19
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