Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
塩素原子や硫黄原子といった,第3周期(およびそれ以降)の原子を分子末端にもつような分子の静電相互作用を正しく表現するためには,これらの原子上に存在する電気四重極子の効果を考慮する必要があることを,四塩化炭素,塩化水素,および二硫化炭素などの分子を対象とした研究により,明らかにしてきた。この効果は,四塩化炭素などが極性分子と相互作用する場合に,顕著に見られると予想される。そこで本研究では,四塩化炭素と水およびメタノールの相互作用を例としてとりあげ,塩素原子上の電気四重極子が相互作用エネルギー等に対してどの程度の影響を持つものであるのかを,理論的に検討した。 その結果,どちらの場合においても,C-Cl...Oという相互作用をもつ構造が,安定構造として得られることがわかった。通常使用される電気陰性度スケールではCl原子がC原子より大きな電気陰性度を持つことと,水やメタノールのO原子は部分負電荷を持つことを考え合わせると,C-Cl...O相互作用が安定であるという結果は一見奇妙であるが,Cl原子上の電気四重極子の効果によってC-Cl結合の延長上に大きな外向きの電場が生じていることによって,うまく説明できる。 このことは,メタノール-四塩化炭素分子間相互作用のエンタルピーが,四塩化炭素分子どうしの相互作用と同程度であるという実験結果と,うまく対応するものと思われる。また,水と四塩化炭素の界面における液体構造を理解するのに,有用なものと考えられる。
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