Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
アカパンカビはその生活環で,多くの形態形成が光により制御されている。光制御を受ける主要な過程は,1)菌糸のカロテノイド合成,2)菌糸からの分生子形成,3)分生子形成リズムの位相応答,4)原子嚢殻形成の促進,5)子嚢殻極性の誘導,6)ビークの正の屈光性である。 3つの光受容体;i)WC-1,WC-2;複合体,WC complex (WCC)を形成,光受容で,転写因子として作用。ii)VIVID (VVD);WCCの機能の抑制因子で光受容も行なう。iii)New opsin-1(NOP-1);バクテリオロドプシンに相似,光受容によりプロトンを放出。WCCは多数の機能をもち,その変異,wc-1,およびwc-2は1),2),4),5),6)の作用が見られない。vvd変異は菌糸におけるカロテノイドの光誘導が促進される。 光受容の過程を分子レベルで明らかにするために,菌糸から調製した粗抽出液を用い,試験管内光信号伝達解析系を立てた。青色光照射は15kDaタンパク質のリン酸化を増大させ(小田,蓮沼1994),ヌクレオシド2リン酸キナーゼであることが同定され,NDK-1と命名された(小倉ら1999)。NDK-1のリン酸化がほとんどない変異株,ndk-1P72Hが単離された(小田,蓮沼1997)。変異株,ndk-1P72Hは光による子嚢殻極性の誘導が欠失していた(小倉ら2001)。NDK-1がどのような分子機構でカロテノイド合成および形態形成をするかを決定することを研究目的とした。 アカパンカビの野生株,スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)変異株,sod-1,ndk-1P72H菌糸の表面培養に光を照射すると,野生株はカロテノイドを誘導合成した。sod-1変異株は野生株より早く,およそ2倍の速度でカロテノイドを合成した。この系にアンチオキシダントを加えると,カロテノイド合成の速度が低下した。ndk-1P72H変異株は野生株のおよそ1/2の速度でカロテノイドを合成した。sod-1変異株,およびndk-1P72H変異株は子嚢殻の極性の光誘導が共に欠失していた。ndk-1P72H変異株はカタラーゼとの機能的な相互作用が野生株に比べ低く,カタラーゼの作用が弱いと考えられる。カロテノイド合成系遺伝子,al-1,-2,-3の発現が野生株は一過的になるのにたいして,sod-1変異株は長くつずく。アンチオキシダントが明らかにカロテノイド合成を抑制するので,活性酸素分子種が関与することは強く示唆される(吉田,蓮沼2004)。
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