Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
真核生物が動物と植物に分かれるとき、その防御方法に違いが出た。植物細胞は外敵から身を守るために、強固な細胞壁を手に入れ外敵から身を守った。しかしそれにより失ったものは移動の自由である。そのため逆に、悪い環境から逃げることが出来ず、乾燥・高低温などの様々な外部環境に対して自ら身を守らなければならなかった。環境抵抗性を発揮するためには、エネルギーが必要であり、日頃からエネルギーを貯蔵する必要がある。幸い植物は光合成により太陽エネルギーを生物エネルギーに変換することが出来、それによって蓄えられたエネルギーの消費を必要最小限にすればよい。ミトコンドリアは遺伝子発現を精密に調整することによりそれを成し遂げていると考えられる。そしてそれを支えているのは、ミトコンドリアゲノムの可変性と考えられる。これを証明するために、タバコ(Nicotiana tabacum L.cv.Bright Yellow)の緑葉とカルス、さらに培養細胞であるBY-2細胞におけるミトコンドリアゲノムの構造を引き続き調べた。具体的には3種の細胞から全DNAを抽出し、制限酵素で処理後ミトコンドリアDNAにcodeされている遺伝子atp1をプローブにしてサザンハイブリダイゼーションを行った。結果はatp1をプローブにした場合は緑葉と培養細胞で断片長に差がなかった。すなわちミトコンドリアゲノムのatp1をcodeする部分約4kbでは両者に変化が認められなかった。したがって、すでにatp6付近で変異があると報告しているが、それはごく限られた部分だけである可能性が出てきた。
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Mol.Genet.Genomics (in press)