Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
生体内で生成し,重要なシグナル作用を果たす場合もあるが,消去の能力を超えて過剰に生成されてしまうと酸化ストレス源となる活性酸素系(O_2^-,H_2O_2,・OH,^1O_2)、活性窒素系(NO,NO_2,N_2O_3,ONOO^-)、硫酸酸化物系(・SO_2,・SO_3)の分子種やラジカルの生体内での生成や作用に関する研究成果が蓄積されてきた。炭素酸化物系(炭酸,重炭酸)由来のラジカルも、以前からγ線照射やパルスラジオリシスの系で、物理化学的にその存在が証明されていた。 われわれは,これまでに全く報告がない経路により生体内で炭酸ラジカルが生成している可能性を強く支持する結果を得た。老化の指標とされる後期糖化反応生成物(Advanced Glycated End Product, AGE)を導く中間体であるジカルボニル化合物(メチルグリオキサル(MG),グリオキサル,デオキシグルコソン)が炭酸イオンと反応して、CO_3^<・->の生成を導くことを以下の方法で確認した。(1)ESR法:ヒドロキシルラジカルと同様のシグナルを与えたが、ヒドロキシルラジカル捕捉剤を共存させたこと、標準の炭酸ラジカル生成系であるCo-UV系でも同様のシグナルであった。(2)リゾチームを重合化した。Co-UV系でも重合化された。しかしタンパク質の酸化が起きていることも確認された。トリプトファンラジカルが検出されたので、Trpラジカル、フォルミルキニュレニンを介する重合化であると結論した。 糖尿病患者や腎透析患者ではジカルボニル化合物の含量が高く、AGE生成を導き易いのみならず、炭酸イオンと反応すれば炭酸ラジカルの生成を導く可能性が高い。またこの事実は炭酸ラジカルがすでに報告されている特殊な酵素反応(例えばSDOのペルオキシダーゼ反応)によって生成するのみならず、生体内での化学反応を介して、たとえば糖尿病患者の体内で普遍的かつ容易に、炭酸ラジカルが生成する可能性を今後明らかにしてゆきたい。
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