Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
昨年に引き続き、マツノザイセンチュウ感染後に発現する防御系遺伝子、特にフェニルプロパノイド代謝経路及び抗酸化経路に関与する6つの遺伝子に着目し、病原性マツノザイセンチュウ系統を接種した場合と、非病原性マツノザイセンチュウ系統あるいは非病原性糸状菌類を接種した場合とで、その発現様式を比較することにより、これら遺伝子の発病過程における役割を解明する研究を継続し、一定の成果を得た。また、この研究を通じて確立したマツノザイセンチュウの微量DNAに基づく材内組織中の同線虫の高感度検出法を用いて、さらに次のような2つの研究を実施した。一つは、野外の2つのマツ林、一方は海岸クロマツ林、他方はアカマツ林、において設定区画内の全木を対象に材内マツノザイセンチュウの検出を試みたところ、外見上健全に見えるかなりの数の個体からも同線虫が検出され、本線虫による潜在感染木が広く存在することが証明され、この線虫による流行被害の拡大における潜在感染木の重要性があらためて確認されることになった。他の一つの研究においては、マツノザイセンチュウの病原力の重要な要因の一つと考えられる寄主樹体内移動力の試験にこの"材内組織線虫の高感度検出法"を駆使することにより、接種後短時間にこの線虫が相当長距離移動できることを明らかにした。このことは、マツノザイセンチュウ感染による発病のメカニズムを考える際に、注意すべき新たな視点を提供したことになる。これらの研究の成果は既に国際誌に投稿し、一部公表済みである。
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Nematology (accepted)(印刷中)