出生後の環境は胎児期メチル水銀曝露による行動発達への影響を修飾するか?
Project/Area Number |
15659139
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hygiene
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 洋 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40125571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
仲井 邦彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00291336)
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Project Period (FY) |
2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
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Keywords | メチル水銀 / 胎児期曝露 / 可塑性 / 神経行動学 / Environmental Enrichment / 水銀 |
Research Abstract |
発生・発達過程にある中枢神経系はメチル水銀に対する感受性が高く、メチル水銀による健康影響では胎児とその脳が最大の標的集団と標的臓器である。実験動物においても、神経行動学的な解析によって胎児期曝露により成長後のマウスの行動変化が惹起されることが確かめられている。その一方で、脳は柔軟で代償性に富む臓器であり、発達過程における環境によっては、胎児期に受けた障害に対し防御系を作動させ、また失われた機能を代償することができると期待される。脳のそのような可塑性に着目し、メチル水銀の胎児期曝露実験を実施し,神経行動学的な解析を試みた。実験方法は、妊娠マウス(C57BL)に対し12日目から3日間、メチル水銀を4mg/kg経口投与し、胎児期曝露群を作成した。離乳した雄性仔マウスを、1)通常の個別飼育ケージ、2)通常の大型ケージで多頭飼育、3)小動物用遊具・迷路・巣のあるEnvironm ental Enrichment環境で多頭飼育、と3つの異なった環境で飼育し、生後8-12週齢にて24時間自発行動量、Open Field TestおよびWater Maze Testを実施した。Open Field Testや自発行動量では飼育条件の違いやメチル水銀曝露の作用が観察されたものの、複合的な影響は見出せなかった。一方、水迷路試験では飼育条件の影響は小さいものの、メチル水銀曝露によって単頭群、多頭群ともにプラットフォームまでの到達時間が延長した。しかし多頭迷路群ではメチル水銀曝露の影響は観察されなかった。以上の結果から、離乳後の豊かな環境下における飼育によって、メチル水銀胎児期曝露の影響のうち、オープンフィールド試験で示される情動反応については明瞭な影響はないものの、水迷路試験で示された空間学習能力については改善が示唆され、低濃度メチル水銀の影響は離乳後の環境によって部分的に修飾されることが推測された。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakai K., Keita S., Oka T., Murata K., Sakamoto M., Okamura K., Hosokawa T., Takeo S., Nakamura T., Saito Y., Kurokawa N., Kameo S., Satoh H.: "The Tohoku Study of Child Development : A Cohort Study of Effects of Perinatal Exposures to Methylmercury and Environmentally Persistent Organic Pollutants on Neurobehavioral Development in Japanese Children."Tohoku Journal of Experimental Medicine. 202(submitted). 227-238 (2004)
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