Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
今回の研究では,ラット後根神経節の衛星細胞間にあるギャップ結合を蛍光抗体法にて染色し,その分布状況を観察した.これまで電顕を用いギャップ結合を観察した報告はあるが,蛍光抗体法を用いギャップ結合を同定した報告はなかった.電顕標本は極狭い,極薄い範囲は観察可能だが広い範囲は困難である一方,蛍光抗体法は切片全体を観察できることが利点である.本研究から,後根神経節におけるギャップ結合は後根神経節全体に均一に分布するのではなく,コロニーを形成するかのごとく比較的集まって発生しているようであった.このような結果は電顕を用いた極狭い範囲の観察ではわからないことであった.しかも後根神経節より末梢部分での神経切断モデルにおいては,正常群に比しギャップ結合の数が有意に増加し,神経細胞は数が減少していた.これは相応する末梢神経侵害受容器からの神経栄養因子が逆行性に運ばれるのが途絶し,ある種の神経細胞が死に至ると考えられており,神経細胞の死に反応してギャップ結合が増加するのではないかと推測した,その反応のメカニズムについては今後の研究がさらに必要であるが,我々は衛星細胞がギャップ結合を介しネットワークを形成することで,spatial buffer機能が働くのではないかと考えている,後根神経節が圧迫や炎症にてダメージを生じ,神経細胞自体が死ぬと,細胞内に含まれる蛋白やイオンが細胞外環境を汚染する。特にK+濃度の上昇が引き金となり,ギャップ結合が増加し,衛星細胞間にネットワークが形成され,衛星細胞がK+を吸収し,神経細胞周囲のイオン濃度維持をしているのではないかと考えている.衛星細胞がギャップ結合を介してネットワークを形成する作用を補助することで,後根神経節内の神経細胞外環境変化を極力抑えることが,新たな痛みのコントロール方法になりうるため,さらに研究を重ねる必要があると考えている.
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