Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
これまで、副腎摘出ラットやグルココルチコイドの合成阻害薬を投与した動物を用いた実験で、メタンフェタミン(MA)投与による体温上昇が抑制される結果が得られたことから、副腎から分泌されるグルココルチコイドがMA投与による体温上昇大きく関与していることを明らかにしてきた。今回、さらにこのグルココルチコイドの受容体を介した作用メカニズムについて検討をすすめた。ラットには実験前2.5日間、朝夕二回、グルココルチコイド受容体(GR)阻害剤(RU-486:RU)またはミネラルコルチコイド受容体(MR)阻害剤(スピロノラクトン:SP)を投与した。体温の測定は、テレメトリーシステムを用い、あらかじめ体温データ測定用の送信機を動物の体内に埋め込んでおくことで、薬物投与後の体温変化のデータを非侵襲的に連続的に測定した。実験開始直前にMA(2mg/kg)を腹腔内投与し、投与直後から4時間にわたり体温変化を観察した。RU投与群では、コントロールに比較して有意な体温上昇がみられた。SP投与群においてもMA投与後の体温上昇が強く抑制された。一方、血中のコルチコステロン濃度はコントロールと比べて有意な上昇がみられた。このことから、MA投与後の体温上昇にGRおよびMRを介する作用メカニズムの関与していることが示唆された。今後さらに骨格筋などの受容体発現との関連についても検討をすすめる予定である。