Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Research Abstract |
本研究課題では,生物脳のように変化する外部環境との相互作用を介して,構造的および機能的に柔軟に自己組織化する神経回路網モデルの構築を目標としているが,本年度は,はじめに,15年度に構築した構造改変に対応させた拡張Hebb則のプロトタイプを改良し,生理学的にもより妥当な結合構造の時空間改変を統合したモデルを構築した.つぎに,シミュレーションにより,改良モデルの能力を検証し,その理論的考察を行った. 1.プロトタイプ拡張Hebb則の改良 ニューロンは主にシナプス結合を介して入力情報を受け取るが,シナプス結合を全く持たない新生ニューロンは入力がないため発火せず,したがって,Hebb則による学習が成立せずに新たな結合も形成されないという一種のジレンマがあった.従来のモデルでは,ランダムな初期結合構造を仮定するなど,不自然な解決法が用いられているが,15年度に提案したプロトタイプでも,ランダムな結合形成により便宜的に解決しており,その生理学的妥当性には疑問が残るなど,根本的な問題解決には至っていなかった.これに対し,本年度改良した学習則では,生理学的にもより妥当なニューロンの自発発火を構造改変のための信号として定式化することで,このジレンマを解決した. 2.シミュレーションによる能力検証と理論的考察 改良したモデルを計算機上にインプリメントし,パターン認識問題に適用した結果,生理学的により妥当なシナプス結合を持たない新生ニューロンを用いても,認識に必要な対象の概念形成過程の幾つかの簡単な側面の再現が可能であるなど,その性能が確認された.また,理論的にも先に提案した概念(記憶)形成能力をより少ない計算コストで実現できることが証明された.
|