Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究での主たる対象は時系列解析だが、ベルンシュタイン多項式に基づく関数推定問題は独立同一分布を想定した母集団分布(密度)関数や回帰モデルにおける回帰関数など、いわゆる「関数のノンパラメトリックな統計的推測」の中に位置づけられる。独立同一分布の密度関数推定(レフリー付きジャーナルJNSに掲載)との類似点に着目し時系列解析の典型例である定常過程のスペクトル密度推定問題への接近法としてベルンシュタイン多項式近似理論を応用(レフリー付きジャーナルJTSAに掲載)した。連続関数なスペクトル密度は周期関数で原点対称性をもつから、[0,π]上のベルンシュタイン近似が採用され、ベルンシュタイン多項式を重みとする推定量の属(古典的に議論されてきたダニエルによるスペクトル推定量の線形結合)を考察し、さらに、ダニエルウィンドウ関数を一般的なウィンドウ関数に替えることで、ダニエルウィンドウ関数の最適性がベルンシュタイン法の意味で示された。平滑化パラメータの選択に対するアイディアは「関数のノンパラメトリックな統計的推測」の枠の中で先行研究が多数存在しておりベルンシュタイン推定法を念頭に関連する文献研究をした。一方では、漸近的な分散の振る舞いは原点近傍と内点ではオーダーが違っており、特に、標本サイズに依存かつ原点に収束するような位置におけるベルンシュタイン関数推定漸近理論には注意を払う必要も示した。このことは、ベルンシュタインスペクトル推定量は原点付近にピークが現れる傾向(これはベルンシュタイン法に対して実施された大規模な数値実験からも確認されており、1つの欠点と判断される)をもつことに対応しており、局所的なベルンシュタイン多項式次数の選択法開発の必要性を認識した。
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Journal of Time Series Analysis 27.2
Pages: 253-287
Journal of Nonparametric Statistics 16・5
Pages: 709-729