Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は、炭素14と炭素13を組み合わせた新たなトレーサーを開発することを研究目的とする。2年間の研究期間を通じて、参照海水の導入によって炭素13の分析精度を向上させることを目標とし、初年度の平成15年度には炭素13分析用参照物質調製装置の開発、16年度には当該装置を用いた分析・データ解析研究をおこなう計画を立てた。今年度15年度には、既存の全炭酸用参照物質調製装置を拡張し、炭素13用の参照物質を調整できるように改造した。具体的には、新たな分岐ループを追加、制御用のPCの増設、ソフトウエアの改造を行った。改良した調整装置を用いて外洋域表面水約200リットルを紫外線殺菌、ろ過したものに塩化水銀を添加し、試料ビン数百本に小分けにした。調製後、任意の20本を選択し試料の場合と同様の手順で炭素13分析のための前処理・分析を行った。その結果、20本の測定結果は分析精度0.05‰以下であり、調製した参照海水の均一性を確認することができた。一方、参照海水の役割として長期(数年)間にわたる安定性も求められる。これについては、本研究最終年度の平成16年度、及びさらに継続してその安定性確認実験を行う必要がある。また今年度平成15年度には、南太平洋、南大西洋、インド洋において約3000個の炭13及び炭素14測定用海水試料を採取した。平成16年度には参照物質安定性確認実験に加えて、平成15年度に採取した海水試料の前処理、分析を行い、炭素14と炭素13を組み合わせた新たなトレーサーの開発を試みる。