Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
前年度に2001年芸予地震(Mw=6.8,スラブ内地震)の詳細な震源過程を,高密度強震波形データのインバージョンにより推定し,震源域の媒質の不均質性が震源過程に与えた影響を議論した。その成果をJournal of Geophysical Research誌に投稿し,掲載された。この前年度の解析では,震源断層面としては分岐断層のないモデルを仮定した。しかし,余震分布を検討すると,震源域南側で分岐断層が生じていた可能性がある。そこで,今年度は新たに分岐断層を持つ震源モデルを仮定し,波形インバージョンによる解析を行った。その結果,分岐断層を仮定しないモデルと仮定したモデルの優劣の差はほとんどなく,使用したデータセットでは,分岐断層の存在の有無を確定することはできなかった。また,2001年芸予地震の震源過程が地表の強震動分布に与える影響を観測と数値シミュレーションの両方から検討し,断層面上の破壊伝播のdirectivity効果が,地表の強震動の振幅・複雑さに大きく影響したことを実証した。 前年度に引き続き,島弧下の構造がregionalな強震動分布に与える影響を評価するため,東北日本弧をターゲットとし,2003年5月の宮城県沖地震(M_<JMA>=7.1,前弧側スラブ内地震),1997年M_<JMA>=5.0の火山フロント下のスラブ内地震等の強震データを詳細に解析した。前者では,距離減衰式に比べ,背弧側観測点の加速度振幅が著しく小さかった。後者では,加速度振幅の空間分布が前弧側(太平洋側)と背弧側(日本海側)で大きく,間の火山フロントのところで小さいという極めて特異な分布を示した。これらは,火山フロント下の低Q値(=減衰大)領域が地震波の高周波成分を減衰させ,regionalな強震動分布に影響を与え,特異な強震動分布をもたらしていると解釈できる。
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