フロイトの「死の欲動」概念を受容し発展させるための思想的枠組をつくる試み
Project/Area Number |
15720016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of thought
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
立木 康介 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (70314250)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | ロマン主義 / タナトス問題系 / 超自我 / 抑うつ / 暴力 / 依存 / 死の欲動 / 快原理 / (リビドー)経済論 / メタサイコロジー / 攻撃性 / サドーマゾヒズム / (反)倫理 |
Research Abstract |
本研究の主要な目的は、フロイトの「死の欲動」概念の思想的意義を明確化し、その今日的な射程を見きわめることであり、具体的な取り組みとして、1/データ・ベース「フロイトの死の欲動論」の作製と分析、2/フロイトの「死の欲動」概念と直接・間接の影響関係にある哲学的・文学的思想を、フロイト以前、フロイトと同時代、フロイト以後の三つの観点から探求する、および、3/人間の倫理性が死の欲動に由来するというフロイトのテーゼを支えている論理を洗い出し、その射程を見きわめる、という三つの個別のアプローチが設定されている。昨年度、フロイトのテクストの電子化により1の、作業がほぼ終了したのを受けて、今年度は、主に2および3のテーマが中心的な研究課題となった。2については、とくにフロイトとドイツ・ロマン主義との関係に光が当てられた。この関係は、連続と断絶という二重性において捉えられねばならず、ことに「死の欲動」概念をめぐってはこの二重性のどちらの極を研究者が重視するかによって、当の概念そのものの解釈に変動が生じうることが明らかになった。それどころか、この二重性はフロイトの理論構築のなかに潜在的な亀裂を内在させており、それによってたとえば精神分析(治療)の終結=目的といったきわめて臨床的な主題においてさえ、「死の欲動」から出発して完全に相反する二つの帰結が導き出されることが分かった。3については、昨年度開始された作業の延長線上に立ち、フロイトの倫理についてJ.デリダが行った指摘をいかに発展させるべきかが検討された。この作業は目下進行中であり、今後も一、二年の継続が見込まれる。なお、本研究の成果をもとに現在『精神分析研究』誌(日本精神分析学会)に投稿中の論文「死の欲動についてフロイトはなにを語ったか」においては、今日社会問題化しつつある「抑鬱」「暴力」「依存」という三つの病理現象を「タナトス問題系」として一貫したロジックのもとに解明すべきであることが提唱されている。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)