Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
京都・陽明文庫で調査した、中世の源氏物語古注釈書『長珊聞書』に関しては、その紙焼きコピー(全53冊、約3100丁分)を平成16年7月に入手していたが、今年度は、昨年度に引き続き、この膨大な量に及ぶ資料の解読・翻刻作業を進めた。この作業は、早稲田大学大学院出身の新美哲彦・緑川真知子・横溝博の三氏の協力を得ている。また、この翻刻の成果については、武蔵野書院から『源氏物語古註釈叢刊』(全10巻、既刊8巻)の続刊として、全4分冊で刊行されることが決まっている。当初の予定では、4分冊のうちの第1分冊(「桐壷」〜「須磨」巻)を平成18年3月までに刊行することをめざしていたのだが、まだこの範囲の翻刻作業自体が完了していないので、刊行は平成18年度にずれ込むこととなる。一方、この『長珊聞書』の解読・翻刻作業と並行して、源氏物語古注釈研究と少なからぬ関係をもつ研究課題、すなわち物語文学の読者・享受に関する考察を進めている。今年度は、雑誌等に掲載された論考において、『源氏物語』の読者論・女房論、『堤中納言物語』の享受論を展開した。成立当時の読者層に関するこれまでの通説を批判的に検討した上で、平安時代の物語文学は、ごく一部の高貴な姫君たちだけを対象として生成されたのではなく、女房たち、さらには女童などをも読者として想定していた可能性があるということを論じている。また、それと連動して、特に女房たちの「いろごのみ」の問題をとりあげた。
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源氏研究(翰林書房) 10
Pages: 106-118
國語と國文學(東京大学国語国文学会) 82/5
Pages: 103-115
国文学研究(早稲田大学国文学会) 146
Pages: 24-35
40007049740
人物で読む『源氏物語』第十巻 朧月夜・源典侍(勉誠出版)
Pages: 201-210
礫(礫の会) 230
Pages: 29-32