清末民国期江南市鎮の指導層と地域統合に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15720160
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Asian history
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
佐藤 仁史 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (60335156)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 郷土意識 / 地方分権 / 清末民初 / 江南 / 市鎮 / 地方エリート / 地方自治 / 平民教育 |
Research Abstract |
本研究では従来十分には利用されてきたとは言い難い地方文献の調査・利用を通じて、清末民国期江南市鎮の指導層と地域統合の実態を明らかにし、地域の視点から近代中国の社会変動を考察する基礎作業を行った。本年度の研究実績は次の2点である。 第1は、県より下の地域社会における指導層の活動や地域社会の構造変動についての実態を伝える地方文献の収集である。常熟県では、清末民初の地方自治や議会制、1920年代の地方公事を担った人物の日記である『虹隠楼日記』を、呉江県では民国期の小学校教員の日記である『芬陀利室日記』や在地知識人の日記『顧貞楼日記』をそれぞれ撮影した。昨年度に調査・収集した地方新聞(『新黎里』『新盛澤』『盛澤』『盛〓』『常熟日日報』など)、文史資料、新編地方志などと併せて用いることによって、従来解明が困難であった地域杜会の実態を多面的に明らかにしていく展望が大いに開けたといえる。 第2は、地方文献の収集と並行して、かかる文献の作者でもある在地指導層の秩序意識の一端を、郷土意識という角度から分析したことである。県志や郷鎮志、郷土教育の教科書である郷土志の作者は清末民初の地域社会を担った指導層であった。彼らにとって「郷土」とは、近代化推進のための改良の対象であると同時に、自己との一体性を有しやすい本質的な存在という二面性を有していたこと、郷土愛の涵養が愛国へと齟齬なく連続するものであるという秩序意識を有していたことを明らかにした。成果の一部は、『近代中国の地方志にみる郷土意識-江南地方を中心に-』『史潮』新56号、2004年、に発表している。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)