中世フランスの歴史叙述とナショナル・アイデンティティ形成に関する研究
Project/Area Number |
15720168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of Europe and America
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
鈴木 道也 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (50292636)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 中世フランス / 歴史叙述 / ナショナル・アイデンティティ / フランス大年代記 / 記録と記憶 / 歴史史料データベース / 写本 / 年代記 / アイデンティティ / ナショナリズム / 記憶 / 王権 / 中世 / フランス / アイデンテイテイ / 王国 / 史書 |
Research Abstract |
本研究は、13世紀後半に成立し、その後数多くの複写(写本)が制作されることで、中近世フランスにおける「正史」の地位を得た、『フランス大年代記』と呼ばれる史書、及びその写本群を主たる対象に、それがどのように産み出され、また中世人たちにどのような影響を与えたのか、その社会的機能を明らかにする試みを通じて、前近代社会において「ナショナルなもの」が構想され、集合的記憶として受容されていく具体的様相を明らかにしようとするものである。それは、キリスト教的世界観が圧倒的な影響力を有する中世ヨーロッパ社会において「国家史」が誕生する瞬間を描きだすことを目指している。論文「『フランス大年代記』の普及とフランス・アイデンティティ」では、大年代記普及初期の写本を分析の対象とし、王朝交代期にあって『大年代記』写本の内容が新王朝の正当性を色濃く打ち出したものへと加筆・修正されていることを具体的に実証した。また論文「記録管理の過去と現在」では、歴史を記すもの(=歴史家)がまた同時に過去に関わる記録の管理者(=アーキビスト)であるという、中世フランスの特異な状況を指摘し、中世における過去へのまなざしと、インターネットに代表される情報メディアの急速な進歩が見られる現在のそれとの間にどのような相違が見られるのか、という点を、特にナショナル・アイデンティティとの関連において分析した。叙述史料の歴史学的史料学的分析はまだ端緒についたばかりであるが、大年代記を始めとする叙述史料が紡ぎ出す無数の歴史を整理していくことで、ナショナル・アイデンティティをも相対化しつつアイデンティティの関係性を明らかにすることは充分可能であると思われる。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)